コスパ重視のゲーミングPCを組んでみたはいいものの、格安のPCケース付属のケースファンの音が気になりました。
そこで今回は、ケースファンの交換前後で静音化の実現と、性能に差が出るのか検証してみました。
ケースファンの交換・増設はゲーミングPCの性能に影響するのか検証してみた
まず結論からお伝えしますと、
静音化については、明らかに静かになったのでとても満足。
性能についても、ほぼ誤差レベルの違いしかありませんでした。
各パーツの確認
今回の検証で使用するPCは、以下の構成となります。
※今回のベンチマークは簡易的なものに留めています。
詳細は「コスパ重視のゲーミングPCを組む「ベンチマーク編」」にて記録しています。
※各パーツのリンク先はAmazonの商品リンクとなります。
CPU:AMD Ryzen7 5700X
グラボ:AMD Radeon RX 6700 XT
メモリ:Patriot Memory Viper Elite II PVE2416G320C8(16GB×2)
マザーボード:ASRock B550M PG Riptide
SSD(システム):KIOXIA EXCERIA PLUS G2 SSD-CK1.0N3PG2/N
SSD(データ):KIOXIA EXCERIA G2 SSD-CK1.0N3G2/N
電源:玄人志向 KRPW-BK750W/85+
CPUクーラー:noctua NH-L9a-AM4
PCケース:Thermaltake Versa H18 CA-1J4-00S1WN-00
そして、今回の主役と言えるケースファンが2つ。
前面ファン:SCYTHE KazeFlex140 KF1425FD12S-P
背面ファン:SCYTHE KazeFlex120 SU1225FD12M-RHP
前面の14cmファンは増設、背面の12cmファンはPCケース付属のものと交換です。
※それぞれのファンの価格は1,000円ぐらいだったので、リーズナブルです。
検証をする理由と目的
検証することになった理由と目的について整理しておきます。
・ベンチマークで、格安PCケース付属のケースファンの音が気になった。
・前面パネルに吸気用のファンが無く、エアフローに不安があった。
・ケースファンの音を小さくして静音化を実現したい。
・性能を落とさず、ケースファンの回転数を低くコントロールしたい。
※CPUファンやケースファンの回転数のコントロールは、マザーボードに付随した専用アプリにて設定していきます。
今回の記事の流れは以下の通りに進んでいきます。
・ファン回転数を制御できる専用アプリをインストール
・専用アプリでファン回転数を設定
・ファン交換/増設前のベンチマーク測定
・ファンの交換/増設を実施
・あらためてベンチマークを測定
・作業前後のベンチマークを比較
・まとめ
事前準備
では実際に作業を進めていきます。
まずは、ファンの回転数を制御できるアプリ(ユーティリティ)を入れていきます。
Phantom Gaming Tuning のインストール
※使用するMBは、AsrockのB550M PG Riptideです。
これまでMB付属の円盤は、使った試しがありませんでした。
今回も円盤の中身をインストールした訳じゃないんですが・・・
円盤を読み込んで「Live Update」というリンク先だけを利用しました。
Live Updateをクリックすると、Asrock専用のDLウインドウが表示されました。
ここから「MotherboardUtility Asrockの多目的ソフトウェアスイート」をインストールします。
インストールが完了すると、専用アイコンがデスクトップに表示されます。
各ファンの回転数を設定する
PhantomGamingTuningを起動して各ファンの回転数を設定していきます。
起動しましたら、上部の「FAN-TasticTuning」をクリックします。
以下の手順で設定をしていきます。
直感的にできるので、設定しやすいと思います。
・グラフの赤い点をドラッグして制御するポイントを設定する
・「Auto apply when~」にチェックして「Apply」をクリック
※チェックを忘れると、PC再起動時に設定がリセットされるのでご注意を・・・
これをファンの数だけ繰り返します。
今回は、CPUファン×1、ケースファン×2で計3ヶ所設定しました。
たしかに画面の表示だけでは確認は困難です。
そこで、メーカーHPより「取説」をDLして確認するのがおすすめです。
ちなみに今回のB550M PG Riptideの場合は「7、8ページ」となります。
※筆者は7と8ページだけプリントアウトして、チェックしながら設定しました。
設定ができたら念のためにPCを再起動します。
あらためてPGTuningを起動して、設定が有効になっているか確認します。
問題なければ作業前のベンチマークの測定です。
※結果は作業後の分と合わせて確認・比較します。
ちなみに今回は、以下のように設定しています。
・CPUファン ※温度はCPU基準 | |
温度 | ファン回転数(%) |
50度以下 | 30% |
60度 | 50% |
70度 | 70% |
80度 | 100% |
・ケースファン(前面/背面)※温度はMB基準 | |
温度 | ファン回転数(%) |
50度以下 | 30% |
60度 | 50% |
80度 | 100% |
ファンの回転数は「%」で設定するため、取り付けてあるファンの最大回転数を把握しておいた方が良いです。
※各回転数は、毎分の最大回転数となります。
・CPUファン:noctua NH-L9a-AM4 (2,500回)
・前面ファン:SCYTHE KazeFlex140 KF1425FD12S-P (1,200回)
・背面ファン:SCYTHE KazeFlex120 SU1225FD12M-RHP (1,200回)
今回は「静音性」が目的にありますので、聞こえやすいケースファンは最大回転数が低いものをチョイスしています。
しかも、実質最大回転数を50%に制限しますので、大きな静音性が期待できます。
※MBが80度になることは現実的に想定しずらいため。
1,200回転の50%ですから、毎分600回転。
ということは1秒あたり、約10回転と、相当なスロー回転ですね。
この低速回転でエアフローが足りるのかも、チェックポイントの1つとなります。
ケースファンの交換・増設
ここからはケースファンの作業をしていきます。
一旦PCの電源を落として、すべてのケーブル類を抜きます。
そして、作業の邪魔になるグラボは取り外しておきましょう。
既存ケースファンの取り外し
まずは背面の付属ファンを取り外します。
せっかくなので、交換するファンと並べて比較してみましょう。
パッと見た目でも、明らかに質感が違いますね。
交換する1,000円ぐらいのファンが良く見えるほど、付属ファンが簡素ですね。
そりゃ、格安PCケースの付属ファンですから、コストを削らないといけません。
それは良くわかっています。
ただ、取り外す前にサイドカバーを外して、ファンが回転する様子を観察してみると・・・
あらビックリ「軸がブレて回っているように見える」ではありませんか!
これでは必要以上に音がするのも、当然といえば当然な状況でした。
背面ファンの取り付け
既存ファンを取り外したら、交換するファンを取り付けていきます。
このファンの気に入ったところは最大回転数が低いだけじゃないんです。
ファンを固定して、PCケースと触れる箇所が「ゴム」なのもポイント高いです。
振動の伝わりを抑制して、静音化に貢献してくれることを期待しましょう。
ケーブルがうまく収まる向きを調整して、無事に取り付け完了。
前面ファンの取り付け
続いて前面ファンの増設です。
14cmの方は、「延長ケーブル」が付属しています。
そのため、多少遠い場所に設置しても安心ですね。
※今回は延長ケーブル無しでも大丈夫でした。
前面ファンの取り付けで苦戦したところがあります。
それは・・・PCケースの前面パネル外しです!
これも格安ケースの宿命なんだと思います(苦笑)
最初は何処から外したらよいのか分かりませんでした。
サイドパネルを外してじっくり覗き込むと、何やら「ピン」のようなものが見えます。
そうです、実際は6ヶ所のピンがはまっているだけの簡素な造りでした。
取り外した後ですが、プラスチック製なので乱暴に扱うと「バキッ」といってしまいそうな予感がします(笑)
しかも外す際に、手は届きませんし、届いたとしても指では対応不可能です。
作業するには先が細いラジオペンチ的なものが必要です。
※作業できる幅というか、すき間がすごく狭いので、ラジオペンチでもギリギリぐらいでした・・・
コツはピンの先端の細くなっている場所をペンチでつまんで、強めに押し込む感じです。
これを6ヶ所進めていきます。
真面目に苦戦しましたが、慎重に作業して無事に前面パネルを外せました。
ここにファンを取り付けるのですが・・・
パネルが外れて油断したのか、筆者は軽く「やらかして」しまいます。
一見すると、問題なくファンの取り付けができたように見えます。
しかし、電源ボタンなどの配線やスイッチ類と干渉してパネルが閉まりませんでした(笑)
ということで、落ち着いて取り付け直しをしましょう。
よし!これでバッチリでしょう。
ちなみに内側から見るとこんな感じ。
厚み的には十分余裕があります。
恐らくラジエーターを取り付けても大丈夫そうですね。
これでファンの作業は完了です。
一応、作業前後の状況を比較しておきます。
まずは作業前の状況。
そして、作業後の状況です。
前面ファンは、グラボのエアフローも考慮して位置を調整しました。
さて、これで準備は整いました。
作業前後のパフォーマンスの比較
ようやくベンチマークのお時間がやってきました。
今回は簡易的に以下2種類のベンチマークで進めていきます。
・CINEBENCH R23
シングルスコア、マルチスコア
・ファイナルファンタジーⅩⅣ 暁月のフィナーレ
画質:最高画質、解像度:WQHD(2560×1440)
ベンチマークの結果を以下の一覧にまとめました。
※名目の「前と後」は「ファン交換作業前と作業後」の略です。
ベンチマーク名目 | スコア | 最高CPU温度 | 最高GPU温度 |
CINEBENCHシングル前 | 1528 | 69度 | 省略 |
CINEBENCHシングル後 | 1525 | 72度 | 省略 |
CINEBENCHマルチ前 | 12596 | 72度 | 省略 |
CINEBENCHマルチ後 | 12558 | 73度 | 省略 |
FF14 前 | 17612 | 78度 | 76度 |
FF14 後 | 17848 | 79度 | 83度 |
スコア的には「ほぼ誤差レベル」と言ってもいいと思います。
CPUの温度も、ほぼ影響ないレベル。
ただ、GPUの温度が若干気になります。
76度と83度ですと、7度の差ですか・・・
まとめ
いかがだったでしょうか。
性能を維持しつつ、静音性を目標に作業を進めてきました。
結果としては、約2,000円でファンを交換・増設して静音性はしっかり効果が出たので、コスパの良い投資だったと思います。
作業前は、「ブーン」と変な音が気になっていましたが、作業後は一切無くなったのがうれしい限りです。
性能面では、スコア的にほぼ誤差レベルでした。
しかし、GPUの温度が若干気になる結果となりました。
今後はしばらく様子を見て、ファンの回転数の調整が必要なのか判断しようと考えています。
それにしても、マザーボード付属のユーティリティが優秀です。
無料なのに簡単にファンコントロールできるのは、とても便利ですね。
PCケース付属のファンの音が気になったら、我慢せずに交換をするのも有効な選択肢だと思います。
少ない費用で異音から開放されるのは、コスパが良いと言えるのではないでしょうか。
今回はここまでとなります。
少しでも参考になれば幸いです。
それでは良いゲーミングPCライフを!